40代~60代では多くの方が親の介護の悩みがでてきます。
介護と言っても歳をとって徐々に介護が必要になる場合もあれば、脳梗塞の後遺症や事故によって介護が必要になることも。
このようなことに備えて少しでも知識を持っておくことで、スムーズな介護や生活支援ができます。
介護者は孤独になりがちだったり、仕事を退職しないといけないと思う方もいると思います。介護者だけで抱え込まずに、周りや制度を頼りながらうまく付き合っていくことが必要です。
そこで今回は介護についての制度やサービスの種類・利用の仕方を解説します!
1.介護保険制度
介護保険制度とは、日本の高齢者やその家族を支えるための社会保険制度のことです。
高齢者の方が必要な介護サービスを受けられるように、社会全体で支える仕組みであり原則65歳以上であれば誰でも利用できます。
ただし40歳から64歳の方でも、特定の16種類の疾病に該当し要介護認定を受けた場合は利用できるものです。
2.介護サービスとは
介護サービスとは、要介護認定を受けた高齢者や障害者など介護を必要とする人が、利用できるサービスです。
利用者の生活を支援し、より自立した生活を送るためのサポートをします。また、介護をする家族などの負担軽減にもつながります。
3.介護サービスの種類
介護サービスの種類は、在宅を基本とした介護サービスや施設での生活を基本とする介護サービスなど大きく分けて3つの種類に分けられます。
その種類について解説します!
1居宅介護サービス
居宅介護サービスとは、自宅を基本の生活の場として提供される介護サービスです。通所介護や訪問介護、訪問看護などがあります。
主な居宅介護サービスについて3つ紹介します!
通所介護サービス(デイサービス)
通所介護サービスとは、要介護の認定を受けた高齢者が日帰りで介護施設に通うことです。
そこでは入浴、食事、排泄などの支援や機能訓練、レクリエーションなどのサービスがあります。
通所介護に通うことにより、社会的孤立感の解消や心身機能の維持を計ることができ、社会とのつながりを感じることができます。
また、送迎サービスも含まれるため、自宅から施設までの移動も安心で家族の介護負担軽減にも!
送迎があるので安心!
訪問介護サービス
訪問介護サービスとは、介護福祉士や訪問介護員が利用者の自宅を訪問し、日常生活の支援を行うことです。
訪問介護のサービスは、身体介護と生活援助の2種類あります。
身体介護は、食事・入浴・排泄など身体に直接触れて行う介助です。
生活支援は、掃除・洗濯・調理など日常生活に必要な家事の支援をいいます。
利用者のニーズに応じて柔軟に提供され、家族の負担軽減にも!
短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所生活介護とは、要介護状態にある利用者が短期間施設に入所し、日常生活の支援や機能訓練を受けるサービスです。
利用者が自宅での生活を続けられるように支援し、家族の介護負担を軽減することを目的として利用されています。
利用者は特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設でこのサービスを受けることができます。連続で最長30日まで利用できます。
2.施設サービス
施設サービスとは、要介護者の方が介護施設に入所(入院)してサービスを受けることです。
施設サービスは目的により入所施設が異なり、受けるサービスも特徴があります。
そこで主な施設を3つ紹介します!
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、原則要介護3以上の認定を受けた方(特例で要介護1・2も可)が入所できる施設です。
原則として終身にわたり、食事・入浴・排泄など基本的介護サービスを受けることができます。
介護保険施設なので費用が比較的安く設定されていますが、入所の待機者が多く入所までに時間がかかる場合があります。
レクリエーションや季節に応じた行事も楽しみの一つ!
介護老人保健施設
介護老人保健施設は、在宅復帰や在宅療養を目的としておりリハビリに特化した施設です。
長期的な入院をしていた方が退院前に利用することが多く、利用期間は原則3か月となりますが、場合によっては長期利用も可能となっています。
介護医療院
介護医療院は、要介護者に長期的な医療的ケアと介護を一体的に提供する施設です。
療養上の管理、看護、医学的管理の下で介護や機能訓練、日常生活の支援を行います。
また、看取りやターミナルケアを支える役割もあります。
3.地域密着型サービス
地域密着型サービスとは、地域に根ざしたサービスです。
住み慣れた地域で安心してサービスを受けられ、地域ごとに柔軟にニーズに対応できる特徴があります。
以下では主なサービス2つを紹介します!
小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護とは、通常の通所介護(デイサービス)、訪問介護、短期入所生活介護(ショートステイ)を一体的に提供するサービスです。
月額定額制であり、状況に応じて必要なサービスを組み合わせて利用できます。
また、同一事業所でサービスが提供されるため顔なじみのスタッフが対応するため、安心感もあります。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
認知症対応型共同生活介護とは、認知症の診断を受けた高齢者が少人数で共同生活をする入居型の介護施設です。
1ユニット(共同生活の単位)の定員は5名から9名となっているため、アットホームな雰囲気の中で生活を送ることができます。
専門のスタッフがサポートしながら、家事などの役割分担を行うことで認知症の進行を緩やかにする環境を提供します。
4.介護サービス利用までの流れ
介護サービスを受けるには一定の流れがあります。その流れを解説しますね!
介護サービスは、一定の手続きをしなければ利用することができません。
えっ!必要なときにいつでも利用できるわけではないのですね?
利用までの流れについて解説します!
1.要介護認定の申請
まず、介護保険サービスを利用するには、要介護認定の申請が必要です。
申請には、介護保険被保険者証が必要になります。
40歳から64歳までの第2号被保険者は医療保険証が必要になります。
申請は、個人で行うことができますが分からない場合は、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所、社会福祉協議会へ相談をし
2.認定調査と主治医意見書
認定調査と言われても何をするのか分からないですよね。
認定調査とは、申請を行うと市区町村の調査員が自宅などを訪問して、心身の状態を確認することいいます。
主治医意見書とは市区町村が主治医に依頼し、心身の状態について意見を取り寄せます。主治医がいない場合は、市区町村の指定医の診察が必要になります。
3.審査判定
調査員による調査結果と主治医意見書をもとに、判定会委員による判定会が開催され要介護度の判定が行われます。
一次判定と二次判定を経て、市区町村が要介護度を決定します。
4.認定通知と介護保険証交付
要介護度決定後に市区町村から判定結果通知が送られてきます。
結果は要支援1~2、要介護1~5の7段階の認定または非該当に分かれます。
認定された場合は、有効期間が決められています。新規・変更申請は原則6か月、更新申請は12か月です。
有効期間を過ぎると介護サービスが利用できなくなるため、更新が必要です。
5.介護(介護予防)サービス計画書の作成
介護サービスを利用する場合は、介護(介護予防)サービス計画書(ケアプラン)を作成が必要になります。
要介護1以上の場合は介護支援専門員(ケアマネージャー)が、要支援の場合は地域包括支援センター(市町村で設置)へ相談しケアプランを作成します。
ケアプランとは
ケアプランとは、利用者が望む暮らしを実現するためにどのような課題があるか整理し、目標や援助内容、サービスの種類、提供事業所などケア内容と期間を記載した計画書です。
利用者の介護や自立支援に関わるケアチームがそれぞれの役割をまとめるための重要な文書になります。
ケアプランは、利用者のニーズに合わせて適切なサービスを提供するためには欠かせないものです。
6.介護サービス利用開始
ケアプランが作成されたら、いよいよ利用開始となります。
各サービス事業者は、作成されたケアプランの内容に沿ってサービスを提供します。
5.費用
介護サービス費は、介護保険の基準費用と事業所独自のサービスに対する費用の合計になります。
介護保険の基準費用は、法定価格(国の基準)として決まっています。同じ介護サービスであるならどの事業所を選んでも基準費用は変わりません。
介護保険の価格部分については、利用者の方は1割~3割負担で利用できます。残りの部分については、保険者(市・町)から直接事業所へ支払われます。
独自のサービスとは事業所ごとに力を入れていることが異なります。例えば、レクリエーションが充実している事業所、リハビリに力を入れている事業所などさまざまです。
利用目的に合ったサービスを提供する事業所選びが大切になります。
まとめ
親の介護は近しい人だから優しくしたいと思う反面、とてもイライラすることもあります。この感情は誰にでもあることで恥ずかしいことではありません。
しかし、そのままでは介護をする人の身が持ちません。そのために周りにはさまざまなサービスがあるのです。生活スタイルや負担軽減のためにうまく活用していきましょう!
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